エルメス ボリードとは?歴史・構造・特徴を徹底解説

ボリード - Bolide
エルメス(HERMÈS)のアイコンバッグとして、バーキンやケリーに並ぶ高い人気を誇る「ボリード(Bolide)」。
丸みを帯びた美しい半楕円形のフォルムと優れた機能性を併せ持つこのバッグには、自動車の普及とともに歩んだ輝かしい歴史があります。
今回は、ボリードの誕生から、その名前の変遷に隠されたエピソードを詳しく紐解きます。
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▽1923年の誕生──ファスナーを採用した革新的なバッグのはじまり
ボリードが誕生したのは1923年のことです。
当時、エルメスの3代目社長であったエミール=モーリス・エルメスは、自動車の黎明期にアメリカの自動車工場(フォード)を視察した際、車の幌に使われていた「ファスナー」という画期的な機構に出会います。
馬車から自動車へと移動手段が移り変わる時代、エミールはこの技術をバッグに応用することを思いつきます。そうして生まれたのが、世界で初めてファスナーを採用したバッグ、現在のボリードの前身でした。
▽原点の名前「サック・プール・ロート」──ボリードのスタートライン
現在でこそ「ボリード」の名で親しまれていますが、1923年の発売当時は「サック・プール・ロート(Sac pour l’auto)」という名称で展開されていたとされています。フランス語で「自動車用のバッグ」を意味し、当時の移動手段の変化を背景に誕生したモデルです。
高速で走る自動車の座席やトランクに置いても、中の荷物が飛び出さないようにファスナーでしっかりと閉められる、まさに「最先端のドライブ用バッグ」として開発されたのです。
▽“ブガッティ”と呼ばれた理由──愛称として広がった背景
当時、このバッグは人々から親しみを込めて「ブガッティ」という愛称(通称)で広く呼ばれていました。
その理由は、バッグの上部が丸みを帯びた独特の台形シルエットが、当時フランスの最高級自動車メーカーであった「ブガッティ(Bugatti)」の車のラジエーター(フロントグリル)の形状に酷似していたためです。
時代の最先端をゆく高級車のイメージと重なったことで、「ブガッティ型のバッグ」として上流階級の間で瞬く間にトレンドとなりました。
▽「ボリード」へ──時代とともに定着した現在の名前
「サック・プール・ロート(通称ブガッティ)」の成功後、他ブランドからもこの革新的な半楕円形を模倣したデザインが「ブガッティ型」として市場に出回るようになります。
そこでエルメスは、自社のオリジナルとしての高いクオリティと他社製品との明確な差別化を図るため、正式名称を「ボリード(Bolide)」へと改名しました。
・「ボリード」の持つ意味
フランス語で「レーシングカー」や「流れ星(彗星)」を意味する言葉です。
自動車の普及による「スピードの時代」の幕開けへのオマージュであり、エルメスの先見の明と、疾走感のあるモダンな美しさを象徴する完璧なネーミングとして今に受け継がれています。
▽ボリードの外観構造・各パーツ名称

❶ハンドル
ボリードを象徴する丸みのあるダブルハンドル。
手に自然に馴染む設計で、上品さと実用性を兼ね備えたエルメスらしいディテールです。
❷マカロン
ボリードの正面に配された楕円形のレザーパーツ。
持ち主のイニシャルを刻印するネームタグとして使用されていた名残であり、ボリードが旅行用バッグとして誕生した歴史を感じさせるディテールです。現在ではデザイン上のアクセントとして用いられています。
❸ストラップ金具
ショルダーストラップを装着するための金具パーツ。
なお、ハンドルの裏側に隠れるように配置されており、使用しない際は外観に影響せず、ボリードの洗練されたフォルムを美しく保ちます。
❹鋲
バッグ底面を保護する金属製の底鋲。
地面との接触による傷や汚れを防ぎ、ボリードの美しいシルエットを長く維持するための実用的なディテールです。
❺ショルダーストラップ
取り外し可能なレザーストラップ。
ハンドバッグとしての上品さに加え、肩掛けやクロスボディとしても使用できる高い実用性を備えています。
❻ロック・カデナ(南京錠)
ボリードの開閉部を美しく引き締めるロック(カデナ)。
機能性と装飾性を兼ね備えたアイコニックなパーツであり、エルメスらしい存在感を演出します。
❼クロシェット
鍵を収納するレザークロシェットと専用キー。
細部まで丁寧に仕立てられた付属品であり、ボリードの完成度とクラフツマンシップを象徴するディテールです。
▽ボリードの内部構造

ボリードの内装は、エルメスらしいシンプルかつ機能的な設計が特徴です。
・メインコンパートメント:1
・内側ポケット:1
※ボリード1923は内側ポケット:2(ボリード1923ミニの内側ポケットは1つです。)
無駄な装飾を排したミニマルな構造となっており、美しいフォルムを損なわない実用的な収納空間が確保されています。
大きく開くファスナー開閉によりバッグ内部を見渡しやすく、荷物の出し入れもスムーズです。これは旅行用バッグとして誕生したボリードのルーツを今なお受け継ぐ特徴のひとつです。
内側には小物の整理に便利なポケットが配されており、シンプルながら日常使いに十分な機能性を備えています。
外観のエレガントさだけでなく、使いやすさまで追求された内部設計は、ボリードが世代を超えて愛され続ける理由のひとつといえるでしょう。
▽ボリードとボリード1923の違い
エルメスの人気バッグボリードには、「定番のボリード」と「ボリード1923」があります。
どちらも丸みのある美しいフォルムが魅力ですが、細かなデザインの違いによって印象や使い勝手が異なります。
✓定番のボリードの特徴
・正面にマカロン(楕円形のネームタグ)が付いている
・正面に縦ステッチが入っている
・ファスナー開口部が比較的短い
・内ポケットは1つ
上品さと実用性を兼ね備えたタイムレスなデザインで、幅広いシーンで活躍します。

✓ボリード1923の特徴
・正面にマカロンが付いていない
・正面の縦ステッチがない
・ファスナー開口部が長く、大きく開く
・内ポケットは左右に2つ付いている
(※ミニサイズは1つ)
・ハンドルが短めに設計されている
見た目がすっきりとしているだけでなく、収納力や荷物の出し入れのしやすさにも配慮されたモデルです。

同じサイズ・同じカラーで比較すると、正面のデザインや開口部の大きさ、内装仕様などに違いがあり、それぞれ異なる魅力を楽しむことができます。
▽サイズ一覧
| サイズ | 横幅 | 高さ | マチ |
|---|---|---|---|
| タイニー | 15cm | 10cm | 5cm |
| ミニ (1923) | 18cm | 13cm | 8cm |
| 25cm (1923) | 25cm | 19cm | 9cm |
| 27cm | 27cm | 19.5cm | 9.5cm |
| 30cm (1923) | 30cm | 23cm | 14cm |
| 31cm | 31cm | 23cm | 14cm |
| 35cm | 35cm | 26cm | 14cm |
| 45cm | 45cm | 36cm | 24cm |
▽まとめ
エルメスのボリードは、世界初のファスナー付きバッグとして誕生した歴史的な背景と、時代を超えて愛される洗練されたデザインを兼ね備えた名品です。高い実用性と上質な素材、熟練した職人技によって生み出されるボリードは、単なるバッグを超えた特別な存在として多くの人々を魅了し続けています。
サイズや素材によってさまざまな表情を楽しめるのもボリードの魅力の一つです。購入や売却を検討されている方は、歴史や特徴を理解したうえで、自分に合ったモデルを選ぶことで、その価値をより深く実感できるでしょう。長い歴史の中で受け継がれてきたボリードの魅力を、ぜひ手に取って感じてみてください。
※ボリードの歴史や名称の由来については複数の説が存在しており、本記事では広く知られている説をもとに解説しています。
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